インプラント

インプラントとは

インプラントとは

インプラントは、体内に埋め込む材料や医療機器の総称ですが、歯科領域ではとくに、歯を失ったところの顎骨に埋め込む人工歯根、またはその治療を指します。インプラントが顎骨と結合することでしっかり固定され、快適な噛み合わせと、審美性にも配慮した美しい歯並びを実現できます。

インプラント治療の意義

インプラント治療の意義

インプラントの目的は、不正咬合を改善して口腔内の衛生環境を整えることにあります。歯を失う主な原因のひとつに歯周病がありますが、歯周病になるにもさまざまな理由があります。
そのうち3つを挙げるとするならば、歯石・歯垢の放置による歯周病菌の侵食、喫煙や生活習慣病など普段の生活によるもの、そして不正咬合(噛み合わせの悪さ)となるでしょう。歯周病菌は定期検診などによるプラークコントロール、生活習慣は規則的な正しい生活を送るなどすることで予防できますが、不正咬合は自力で予防することができません。

歯の噛み合わせは、上下・垂直方向にかかる力に強いという特徴があります。しかし、不正咬合に見られる斜め・横からの力には弱く、歯周組織に負担がかかってしまいます。また、歯ぎしりも歯周組織を壊すおそれがある生理的運動とされており、こうした場合は失った部分に義歯やブリッジを入れても治りません。
インプラントでなければ治らない場合があるのです。

当院のインプラントの治療

当院のインプラントの治療方針

X-Guideとは

患者さまに合わせたさまざまな治療法

X-ガイドは、DTX Studio ™ Implant ソフトウェアとリンクし手術をナビゲートするシステムです。解剖学的構造情報とインプラントの位置および角度の情報は、これまで得られなかった粘膜下の情報を取得でき、最適なインプラント治療をサポートします。X-ガイドは、デジタル技術と光学技術を活用しているため、非常に精度が高く、世界30か国以上で導入され(2020年3月現在)、高い評価を得ています。また、X-Guide®を使用した場合、フリーハンドによる手術に比べて埋入角度の正確性は11倍も向上することがわかっています。当院ではX-Guideを使用し、より安全で正確なインプラント治療を提供します。

再生医療(PRGF)

再生医療(PRGF)

PRGFとは「Plasma(血漿)」「Rich(豊富)」「Growth(成長・増殖)」「Factors(複数の因子)」の略称で、血液中の成長因子を抽出し、治療をサポートするシステムのことを指します。 患者さまご自身の血液から成長因子を取り出すので、安全性が高く、スピーディーに治癒できる再生医療として注目されています。身体にメスを入れる外科的治療ではないので、患者さまの負担を抑える利点もあります。 PRGFはさまざまな医科分野で利用されていますが、歯科ではインプラント周囲組織、抜歯部位、歯周病による歯周組織の欠損といったシーンで使用し、組織の再生を促進します。また、インプラント前の骨の生成、抜歯後の治癒の促進といった再生治療にも利用されています。

効果とメリット

PRGFは患者さまご自身から取り出した成分(自己血)を使うため、拒否反応などがほとんどなく安全性が高い治療です。 注入するだけで、切開などの手術を伴わずに組織を再生できるため、患者さまの負担が軽くて済みます。自己組織の欠損を再生させて補うことができるため、損傷した組織を復活させたり、手術の成功率を上げる、治癒を早める、などのメリットがあります。

再生医療(PRGF)を適用した治療例

顎の骨が足りない方のインプラント手術

顎の骨の量が足りないためにインプラントを受けられない患者さまは、PRGFを受けていただくことで、顎骨が増生してインプラント治療を受けられるようになります。また、インプラント体と歯槽骨が早期に結合する効果も期待できるので、治療が短期間で済む場合もあります。

抜歯即時埋入インプラント

抜歯と同時にインプラント埋入を行なう治療でも、抜歯で失った組織を早く再生させ、より短期間でインプラントの定着が促進されます。

身体への負担がない治療

身体にメスを入れる外科的治療ではないので、患者さまの負担を抑えることができます。ご高齢の患者さまやアレルギー体質の方でも安心して受けていただけます。

歯周病の早期治癒

歯周組織が欠損したケースなどでもPRGFが有効です。患部の治癒を促進し、歯周病の進行を食い止めるだけでなく、より良い形で治すことができます。退縮した歯肉を、血行のいい若々しい状態に導きます。

抜歯後の治癒を促進

親知らずの抜歯、または事故などによる抜歯の後に、歯肉や骨の欠損を効率よく再生させる効果があります。

歯牙移植術

むし歯などで歯が抜けたところに、健康な親知らずや、生えている位置が異常などの理由で使用されていない歯などを移植する方法です。 インプラントとは異なり、またブリッジのように両隣の歯を削る必要がなく、自然な歯の機能を生かせるという特徴があります。

インプラント治療の安全性に不安がある方

手術が怖い方

静脈内鎮静法

点滴によって麻酔薬を注入し、意識が残りながらも眠くて気持ちがいい状態(夢心地気分)をつくりだします。これによって歯科治療の不安や恐怖心を取り除き、安心してインプラント治療や外科手術を受けることができます。

こんな方におすすめです

  • 歯科治療に対する不安や恐怖心が強い方
  • 歯科治療中に気分が悪くなったり、脳貧血を起こしたりしたことがある方
  • 高血圧症、心臓病、糖尿病などの全身的な病気をおもちで、全身管理が必要な方
  • 嘔吐反射が強い方(お口の奥に器具が入ると“オエッ”と吐き気がする方)
  • リラックスして、楽に歯科治療を受けたい方

効果とメリット

  • 不安や恐怖心が薄れ、リラックスして治療を受けることができます。
  • 血圧や脈拍が安定します。
  • 処置中は生体モニターを使って患者さまの状態を常に監視するので、持病を抱えている方でも安心して治療を受けることができます。
  • 健忘(けんぼう)効果があるため、実際より処置時間が短く感じられます。また、嫌な治療でも記憶に残らないことがあります。
  • 感覚が鈍感になり、痛みを感じにくくなります。
  • 点滴をしているので、患者さまの変化にすぐ対応することができます。

静脈内鎮静法を受ける場合、治療後帰宅してから眠気やふらつきが出る場合があります。
そのため、自動車・バイクや自転車など、ご自身での運転ではご来院できませんので、ご注意ください。

骨が足りない方

骨が足りない方

顎骨に一定の厚みや幅がない場合、インプラントをしっかりと支えることができません。そのため、歯が抜けた後、長期間放置して顎骨の吸収が進んでいたり、入れ歯などの義歯を装着し続けたことによって顎骨が痩せていたりする場合、インプラントを埋入するために必要な骨が不足していることがあります。こうしたケースでは事前に不足している骨を補う治療である『骨造成』を実施します。当院では『サイナスリフト』または『GBR』いずれかの方法で対応しています。

サイナスリフト

上顎は、骨のすぐ上に上顎洞(サイナス)という空洞があるため、骨の量が少ない状態です。さらに、下顎に比べて柔らかいという性質があるため、歯が抜けると急速な骨吸収によって骨の量が減り、インプラントを埋めるのが難しくなるケースがあります。
インプラント治療ができないほど骨の量が足りない場合、サイナスを囲んでいる歯肉を剥離し、上顎洞底部を持ち上げて隙間をつくります。そして骨補填材を埋入して骨に厚みをもたせます。この一連の治療をサイナスリフトといいます。
上顎の骨量を理由にインプラント治療をあきらめていた方、一度当院でご相談ください。

こんな方におすすめです

  • 上顎の奥歯で骨が足りていない方
  • 上の歯が抜けてから長期間経っている方
  • 進行した歯周病で顎の骨が少なくなっている方
  • 複数のインプラント治療をお考えの方
  • 上顎の歯のインプラント治療を断られた方

効果とメリット

  • 上顎洞底部を持ち上げる高さに制限がありません。
  • 広範囲で骨を増やすことができるので、複数のインプラント治療が可能です。
  • 明視野で手術できるため粘膜を傷つけたりすることが少なく、安全です。
  • 上顎洞底部を持ち上げる処置にはほぼ不快感を感じることはありません。
GBR

歯を支えている歯槽骨は、歯周病やむし歯などが原因で欠損する場合があります。このように失った骨組織を再生し、修復する治療法をGBR(骨誘導再生)といいます。インプラントを埋めるためには、抜歯部の歯槽骨にある程度の厚みがなければなりません。もし必要な厚みに達しない場合にGBRが検討されます。
GBRの原理は非常にシンプルで、抜歯部の空間が歯肉で覆われるのを防ぎ、歯槽骨が再生する空間を保持しようというものです。
治療では、GBR膜と呼ばれる薄いシートを抜歯部分に被せ、その上で歯肉を縫合します。これによって、歯肉が抜歯部分の空間へ増大していくのをシートが防ぎ、その間に骨がゆっくりと再生していきます。
通常、GBRはインプラントの手術前に行なわれ、必要な骨の厚みをつくりますが、インプラントの手術と同時に行なうケースもあります。

こんな方におすすめです

  • 骨が細くインプラント体が一部、骨からはみ出しそうな症状の方
  • 歯が抜けてから長期間経っている方
  • 抜歯時の炎症が強く、顎の骨がダメージを受けている方
  • 進行した歯周病で骨の吸収が進んでいる方

効果とメリット

  • 骨幅の不足分がわずかである場合、インプラント埋入と同時に実施できます。
  • インプラント埋入と同時にできれば、治療期間が短くて済みます。
  • 自家骨を採取する必要がありません。
  • 喫煙者や糖尿病患者の方でも対応できることがあります。

歯を失った場合の3つの治療法

インプラント 歯牙移植 ブリッジ 入れ歯
審美性
耐久性
快適性
5~6年で調整が必要
咀嚼力
治療の難易度 高い 高い
対応できるクリニックが限られます。
普通 普通
メンテナンス
定期的なメンテナンス要

自分の歯と同様です

定期的なメンテナンス要

長期間の使用で合わなくなることも
治療期間
骨の再生や骨造成を行う場合、より治療期間が長くなります。

手術が必要

短い

短い
治療費 ×
保険が適用外

保険適応でも高め

保険の治療もあり

保険の治療もあり

歯牙移植

歯牙移植

『自家歯牙移植(じかしがいしょく)』と呼ばれる方法です。親知らずなど、ご自身の歯を歯がない部分に埋め直します。噛み合わせに関係ない「親知らず」または「埋伏歯(埋もれていて機能していない歯)」がある場合に治療ができます。もしも、移植する場所にまだ歯が残っている場合は、保険適応で治療ができます。ご自身の歯には『歯根膜』と呼ばれるクッションのような組織があるため、インプラント以上に天然の歯に近い、自然な感覚で噛むことができることが歯牙移植の最大の魅力といえるでしょう。

メリット

噛んだ時の感触はインプラントよりも天然の歯に近いです。

一定の条件を満たせば保険適用となります。

金属アレルギーの方でも対応できます。

インプラント治療と比較すると費用を抑えることができます。

デメリット

抜いた歯の根と移植する場所の骨の幅が一致していることが条件です。

抜いた歯が大きすぎたり小さすぎたりする場合、移植できません。

治療が難しいため、治療を受けられるクリニックが限られています。

入れ歯やブリッジに比べると費用が高額です。

インプラント

メリット

天然の歯と同じように噛めます。

食事の味が変わりません。

ブリッジと違い、健康な歯を削る必要がありません。

見た目が自然で義歯(人工の歯)であることは、ほぼ気づかれません。

歯牙移植と比較すると難易度が低いため、多くのクリニックで治療を受けられます。

デメリット

自費診療となるため費用が高額となります。

骨が再生する期間を含めると、治療期間が長くなります。

骨の厚みや幅が不足している場合は、治療ができないことがあります。

全身疾患のある方は治療を受けられないことがあります。

治療後も継続したメンテナンスが必要です。

義歯

メリット

保険適応となるため費用を抑えることができます。

手術が不要です。

インプラントに比べると、治療回数が少なくて済みます。

複数の歯が欠損しているときでも対応可能です。

デメリット

異物感、違和感を覚える方がいらっしゃいます。

保険適応の入れ歯の場合、バネなどが目立つことがあります。

食べかすが詰まりやすい、硬いものを噛みにくいといった不便さがあります。

手入れに手間がかかります。

硬いものが噛みにくいと感じることがあります。

ブリッジ

メリット

治療期間が短くて済みます。

取り外す手間がありません。

歯に固定されているため、入れ歯と比較すると違和感・異物感が少ないです。

使用する歯冠の材質を選ぶことで、自然な見た目にすることができます。

デメリット

隣接の健康な歯を削る必要があります。

削った歯の寿命が短くなる傾向にあります。

削った歯は元に戻せないため、慎重に検討する必要があります。

当院がインプラントをおすすめする理由

歯を失った方には、ある程度の条件が整えばインプラントこそがより良い選択肢であると考えています。 
それは、義歯やブリッジでは対応できないケース、それに歯周病の進行抑止など、インプラントにしかできないことがあるからです。
当院では、患者さまのニーズにも対応できるように、あらゆるオプションとテクニックを取り揃え「トップ・ダウン・トリートメント」という高度なインプラント治療を行なっています。
さらに、きれいで健康な歯肉と傷の治癒のために「PRGF」という再生医療を、治療の痛みに不安がある患者さまのために「静脈内鎮静法」という麻酔処置を、それぞれ導入しております。

当院が使用しているインプラント

当院では、ストローマン社とノーベルバイオケア社のインプラントを使用しています。
ストローマン社は、歯科用インプラントの製品を世界70か国以上に提供しているグローバル企業で、500万人以上の患者さまがストローマンインプラントにより治療を受けているという実績を誇ります。
ノーベルバイオケア社もインプラントにおけるトップ企業のひとつで、これまでに数百万人もの患者さま、そして歯科医療に対して実績を残しています。
世界でも大きなシェアを占める2社のインプラントを採用することで、安心・安全な治療を患者さまに提供しています。

インプラント治療の流れ

カウンセリング

お口の中を拝見し、治療が可能な状態かを確認します。
その上で、どのような手術を行うか詳しく説明いたします。

適応検査

インプラントの手術を行う際は、神経や血管を傷つけることなく、インプラント体を正しい位置に埋入する必要があります。そのためには、顎の骨の状態を三次元的に把握しなければなりません。当院では口腔用3Dスキャナー『 iTero Element(アイテロ エレメント)』と、歯科用CTスキャンを使用して、3Dプランニングを実施しています。3Dプランニングをもとに適切な位置にインプラントを埋入するためX-Guideへインポートし、インプラント手術を行います。

手術の事前説明

改めて、どのような手術を行うか、手術後の注意点などをご説明します。局所麻酔のみでも行うことができますが、治療に対する強い不安がある方は静脈内鎮静法を併用することもできます。

インプラント埋入手術

コンピューター上でCT画像を分析して、治療のシミュレーションを行います。その通りに手術が実行できるよう、当院ではナビゲーションをしてくれるXガイドを使用して手術を行います。このように当院では、インプラントを適切な角度、位置に埋入できるように精密治療を心がけています。

検診・消毒

手術の翌日にご来院いただき検査と消毒を行います。

抜歯

手術の一週間後に抜糸をします。

検診

手術の1週間後と2週間後にご来院いただき、検査をします。
なお、症状によってはその後も定期的に通院をお願いすることもあります。詳しい通院頻度や回数については、担当の歯科医師までご確認ください。

上層部の装着

アバットメントと呼ばれるインプラントと歯冠部の接合部分を装着します。個人差はありますが、術後1~2カ月が目安です。当院では安全性と信頼性の高いストローマン社、またはノーベルバイオケア社のインプラントを使用しています。

検査

上層部の装着が適切に出来ているかの検査を受けていただきます。歯がほとんどない無歯顎
の場合ここで仮歯を入れます。

上部構造の型取りと作製

歯冠部の型取りと作製を行います。ここでもiTeroを使用し負担の軽減を考えています。当院では、歯ぐき部分との接合性が高いジルコニア素材を使用することが多いです。 型取りしたデータを基に歯科技工所に依頼します。

上部構造の装着​

完成した歯冠(かぶせ物)を装着します。

インプラントの治療費

歯周組織再生術 1歯の場合 5.5万円
複数歯の場合 3.3万円×歯数
歯牙移植術 11万円~16.5万(1歯)
静脈内鎮静法 3.3万円
骨移植術 7.7万円~16.5万円
上顎洞挙上術 16.5万円(片顎)
インプラント埋入術 247.500円~¥313.500円(1本につき)(ノーベルバイオケア、ストローマン社)
インプラント上部構造体 220.000円~330.000円(1本につき)

※上記、全て税込みです。